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    2020-2021秋冬 東京コレクション
キーワードは"Protect(防護)"+"Unbalance(不均衡)"
新型コロナウイルスの感染拡大が日本のファッション業界に暗い影を落としている。3月16〜21日に予定されていた「楽天ファッション・ウィーク東京(Rakuten Fashion Week Tokyo、以下RFWT)」の開催中止が発表されると、ファッション関係者に衝撃が走った。RFWTの目玉イベントである2020-2021秋冬 東京コレクションに参加予定だったブランドは急遽、無観客ショーやルック撮影への切り替えを余儀なくされた。東京コレクションが中止になったのは2011年3月の東日本大震災以来だ。そんな混沌とした情勢の中、東京デザイナーたちが提案したのは"防護"や"備え"を含有した強い女性のスタイル。ブランケットコートやポンチョ、トレンチコートなどのアウターはロング丈でオーバーサイズに仕立てられており、身体をすっぽり包み込む温かみのあるデザイン。ミリタリールックやワークウェアのディテールをプラスし、強くたくましいアイテムに落とし込む。キルティングやファー、レザーといったボリュームのある素材にフリンジやレースを飾ったドレッシーなスタイルも登場している。ゆがみや非対称を与え、あえてアンバランスに仕立てたデザインも多い。番組ではLDHアパレルによる「FORSOMEONE(フォーサムワン)」、東コレカムバック組の「THE RERACS(ザ・リラクス)」(デザイナー:倉橋直実)、韓国人デザイナーAvizmo Jo(アビズモ・ジョー)が展開する「De_caffeine homme(ディ_カフェイン・オム)」など、コロナの猛威に負けずにランウェイショーを開催した15ブランドを紹介する。

RFWT中止前の2月10日、「AKIKOAOKI(アキコアオキ)」(デザイナー:青木明子)が会場に選んだのは東京・表参道のワールド北青山ビル。今季はインスタレーション形式のショーを通じて、男性と女性、それぞれの性の延長上にあるスタイルを探求した。性別を超えた装いを提案するにあたり、メンズモデルを初めて起用した。スプラッシュ柄のワンピースにテーラードジャケットの前立て部分を重ねたドレスや、複数枚のトレンチコートを解体し1つのアイテムに再構築したコートドレス、ニット、コットン、デニムをアンバランスにレイヤードしたメンズウェアなど、性差を曖昧にしたスタイルが秀逸だ。

同じくRFWT中止前の2月7日に日程を組んだ「CINOH(チノ)」(デザイナー:茅野誉之)が披露したのはメンズとウィメンズの合同ショー。「compatible(=適合/調和)」をテーマに、アシンメトリーなレイヤードが満載のスタイルを提案した。今季は自分自身のスタイルに服を調和させる所為にフォーカス。左右どちらの腕も通すことができるジャケットはウィメンズは左腕を、メンズは右腕を通すことで裏地が表に出る仕掛けになっており、テーパードパンツと合わせてマニッシュなスタイルに仕上げている。左半分がロングカーディガン、右半分がクルーネックニットの不均衡なニットウェアには柔道の帯のようなベルトを締めてバランスを取る。

AKIKOAOKI

CINOH