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    2016春夏 パリメンズコレクション
進化系“ノー・ジェンダー”とは?
 パリメンズコレクションが2015 年6月24〜28日、2016春夏シーズンの先陣を切って開催された。性差の垣根を取り払った“ノー・ジェンダー”は今シーズンもトレンドの要。2016春夏の“ノー・ジェンダー”は単に男性と女性のアイテムを交差させるというアイデアにとどまらない、時代や文化の壁を越えたミックスコーディネートとして進化を遂げている。ランウェイではアバンギャルドなスタイルが提案される一方で、洗練されたリアルクローズが台頭するという2つの顔ものぞかせた。

 世界を旅する一人の男にフォーカスし、スタイルに多文化的な要素を盛り込んだ「VALENTINO(ヴァレンティノ)」。マリア・グラツィア・キウリとピエールパオロ・ピッチョーリ(Maria Grazia Chiuri、PierPaolo Piccioli)は異なるテイストをミックスし、エフォートレスなワードローブを完成させた。パイナップルやハイビスカスといった南国モチーフをプリントしたベースボールジャケットやオープンカラーシャツ、国旗を組み合わせて地図に見立てたレザーブルゾンにイージーなデニムパンツを合わせるなど、ディテールの端々からエスニックな香りが漂う。圧巻はインディゴの色彩を最大限に生かしたデニムのトータルコーディネート。ウォッシュ加工を施したり微妙なグラデーションで退色させたり、ノンウォッシュデニムにパイピングをほどこすなど、デニムの新たな可能性を打ち出している。

 パリメンズコレクションの最終日に登場した「SAINT LAURENT(サンローラン)」は、1970年代ロックにアメリカ西海岸のサーフィン・テイストをミックス。前シーズン、“ノー・ジェンダー”をトレンドとして打ち出したエディ・スリマン(Hedi Slimane) が、一見ミスマッチと思える華美な装飾と美的観念で“ノー・ジェンダー”を進化させた。フラワー刺繍をほどこしたカラフルなカーディガンにレオパード柄のストールを巻き、エディの代名詞であるスキニーパンツを合わせたコーディネートは一歩間違えば悪趣味に映ってしまうところが、絶妙なディテールや色彩感覚で新たなグランジスタイルへと昇華させている。恐竜モチーフのTシャツ、汚れ加工をほどこしたスニーカー、ボンボン付きのニット帽など、古着を思わせるアイテムも満載だ。

VALENTINO

SAINT LAURENT