2024春夏 パリメンズコレクションが2023年6月20日〜25日、ミラノメンズに続いて開催された。参加ブランドは80超。前シーズン、パリの街を騒然とさせた暴動は起こらず、パリデザイナーの実力が遺憾なく発揮されたシーズンとなった。
コロナ禍を経て大きく変化したワークライフバランスが、メンズファッションに新たなトレンドを生み出している。ワークウェアとスーツを融合させたスタイルや、軽さを追求したエフォートレスなテーラードスーツ、ショートパンツやハーフパンツといったショートボトムを合わせたセットアップなど、これまでにないスタイルを確立。テーラードスタイルの概念に縛られない、ジャケットをタックインする新たな着こなしも提案された。
ここ数シーズン続く、メンズとウィメンズの境界線を取り払ったジェンダー・フリュイドの流れが加速している。象徴的なのはウィメンズウェアに多く使われていたファンシーツイードで仕立てたノーカラージャケット。繊細なシアー素材のシャツもまた、ジェンダーフリュイドの流れを汲むアイテム。花をモチーフにしたコサージュや刺繍をデザインのアクセントに採用するブランドも多く見られた。
注目ブランドはメンズ・クリエイティブ・ディレクターPharrell Williams(ファレル・ウィリアムス)が手がけた「LOUISVUITTON(ルイ・ヴィトン)」。デビューコレクションとなった今季は、メゾンを象徴するモチーフのひとつである”ダミエ(市松模様)”を再解釈したスタイルを提案した。会場となったのはルイ・ヴィトン本社の前にかかる橋、ポンヌフ。ダミエ・パターンとカモフラージュが融合した“ダモフラージュ”をテーラードスーツやミリタリーブルゾン、スポーツユニフォーム風のシャツなど、あらゆるアイテムに採用。アイコニックなパターンに新風を巻き込んだ。