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    2016春夏 パリ オートクチュールコレクション
自然から創り出される装飾美に注目
 昨年11月のパリ同時多発テロを受けて、厳戒態勢の中で開催された2016春夏 パリオートクチュールコレクション。公式参加したブランドは25。厳重な警備をよそに、クチュリエが創り出す装飾美は変わらない存在感を放っている。今シーズンは春を感じさせる植物や昆虫、動物など自然の美しさを最大限に引き出してデザインに落とし込んだブランドが多く見られた。

 「VALENTINO HAUTE COUTURE(ヴァレンティノ・オートクチュール)」は"絹の巨匠"と呼ばれたテキスタイル・デザイナー、マリアノ・フォルチュニィ(Mariano Fortuny)から着想を得て、バレエの衣装のように軽く透明感のあるドレス66点を発表した。素肌が透けて見えるようなヌーディーなシルクシフォンのドレスには小花がやさしく舞い、アコーディオンプリーツ加工がほどこされている。ナイトガウンはキモノの袖や合わせ、刺繍を取り入れ、オリエンタルムードただようデザインに仕上げている。

 オートクチュールでの発表に専念して3シーズン目の「VIKTOR&ROLF(ヴィクター&ロルフ)」は真っ白な彫刻を思わせるアーティスティックなスタイルを提案した。ピケ素材を重ねて彫刻のような立体感を持たせ、顔のモチーフや曲線を形づくった白一色のドレスはシュールな芸術作品を見ているよう。ポロドレス、チュニック、ポロシャツの3アイテムをベースに“ウェアラブルアート(着られる芸術)”に落とし込んだ。汚れや傷をあえて加え、よりリアルな彫刻の雰囲気に。

 そのほか、ラフ・シモンズの突然の退任後、デザインチーム7人によるコレクションとなった「CHRISTIAN DIOR(クリスチャン・ディオール)」のコレクションもお見逃しなく。 

VALENTINO HAUTE COUTURE

VIKTOR&ROLF