ファッション x アートの新たな出会い
2015-2016秋冬シーズンの最後を飾るパリ・オートクチュールコレクションが2015年7月5日〜9日の5日間にわたって開催された。公式参加メゾンは27。今シーズンはクチュリエたちの繊細な手工芸と最新テクノロジー、双方の先端技術を集約し、オートクチュールならではの構築的なドレスが提案された。アートの分野からインスピレーションを得たメゾンも少なくない。
ラフ・シモンズ(Raf Simons)が手がける「クリスチャン・ディオール(CHRISTIAN DIOR)」は、中世のフランドル絵画や19世紀のフランス新印象派の巨匠からインスピレーションを得て、ファッションとアートが奏でる芸術美をスタイルに投影した。フランドル派画家が描いた裸体を髣髴とさせる透明感のあるホワイトドレス、繊細なプリントと羽根で表現された点描画ドレスなど、当時の優美な世界から抜け出てきたような印象。やわらかい色彩で描かれた庭園のプリントは、禁断の果実というよりもセクシャルな魅惑の園をイメージしている。
「ヴィクター&ロルフ(VIKTOR&ROLF)」もまた、ファッションとアートの融合に着目したブランドのひとつ。絵画をモチーフとしたワードローブは、見せ方次第でドレスにもアートワークにも変幻自在に生まれ変わる。ドレスに描かれた絵画のモチーフはレザーカットのジャカードや刺繍、アクション・ペインティングで描かれる一方で、額縁に見立てたヘムは布を重ねて硬い質感に仕上げられている。モデルたちはランウェイ上でドレスを脱ぎ、それをデザイナーであるヴィクター・ホスティン(Viktor Horsting)とロルフ・スノラン(Rolf Snoeren)のが壁に飾ることで作品が完成する。
CHRISTIAN DIOR
VIKTOR&ROLF