デジタル x クチュール。 クリエイティビティの新たな可能性に挑む
2021春夏 パリオートクチュールコレクションが2021年1月25日〜28日、デジタルプレゼンテーション形式で行われた。新型コロナウイルスの感染拡大が依然として続いているパリで、参加した31ブランドすべてがデジタル形式または無観客でショーを発表。「MAISON MARGIELA(メゾン マルジェラ)」や「ELIE SAAB(エリー サーブ)」、「RALPH & RUSSO(ラルフ&ルッソ)」といった花形ブランドが不参加を決めた一方、Alber Elbaz(アルベール・エルバス)が手がける新ブランド「AZ FACTORY(エージーファクトリー)」がデビューコレクションを開催したほか、現代美術家Sterling Ruby(スターリング・ルビー)による「スターリングルビー・スタジオ. LA. CA. (S.R.STUDIO.L.A.C.A.)」がゲスト枠で参加するなど、ブランドの入れ替わりが見られた。
今シーズンはブランドのアイデンティティに寄り添いながら、歴史に名を残した女性たちや中世ヨーロッパの服飾にインスピレーションを求めるブランドが多く見られた。また、クチュールメゾンならではの繊細な手仕事に加えて、パールやビーズ、クリスタル、ラメ、サテンといったきらびやかな素材や装飾をこれまで以上に多用しているのも特徴だ。
最も注目を集めたのは、英国人デザイナーKim Jones(キム・ジョーンズ)がアーティスティック・ディレクターに就任して初のシーズンを迎えた「FENDI(フェンディ)」。インスピレーション源は作家Virginia Woolf(ヴァージニア・ウルフ)の小説『Orlando(オーランドー)』と、ウルフの姉で画家でありインテリアデザイナーとしても活躍したVanessa Bell(ヴァネッサ・ベル)。男性として生まれ女性として生きる主人公の恋と冒険を描いたストーリーに思いを馳せて、パールを格子状に配したドレスや、大理石のマーブル柄を模したガウン、メンズウェアのテーラリングにクリスタルのワイルドフラワーのモチーフを飾ったたドレスなど、男女の垣根を超えたスタイルを並べた。
FENDI
GIORGIO ARMANI PRIVÉ