装飾美からフォルムの美しさに重点を置いたスタイルへ
2013-2014秋冬シーズンの最後を飾るパリ オートクチュールコレクションが2013年7月1日より3日間の日程で行なわれた。最高品質の素材とデコラティブな装飾で観客を魅了してきたオートクチュールだが、今シーズンは装飾美よりもシルエット本来の美しさに重点を置いたスタイルが多数提案された。また、プレタポルテで活躍している「ヴィクター&ロルフ(VIKTOR & ROLF)」が13年ぶりにオートクチュールにカムバックするなど、メンバー構成にも変化が見られ、クチュール業界は大きな転換期を迎えている。
ラフ・シモンズがクリエイティブ・ディレクターに就任して3シーズン目となる「クリスチャン・ディオール(CHRISTIAN DIOR)」は、刺繍やスパンコールといった手の込んだ装飾を、ラフ・シモンズらしいクリーンなシルエットで現代風にアレンジ。ヨーロッパ、アメリカ、アジア、アフリカの4つの異なる地域に思いを馳せ、それぞれの地域が持つ伝統的なフォルムをデザインに落とし込んだ。ヴィヴィッドカラーとフリンジを採用したアフリカ、ムッシュ・ディオールへのオマージュを込めたヨーロッパ…地域別にテーマ性を持たせたスタイルは、絢爛豪華なドレス一辺倒からリアルクローズへと一歩踏み込んだ動きが垣間みられる。
マリア・グラツィア・キウリ&ピエール・パオロ・ピッチョーリのデザイナーデュオが手掛ける「ヴァレンティノ・オートクチュール(VALENTINO HAUTE COUTURE)」は、星座に登場する架空の生き物や、地球上に暮らす生物からインスピレーションを得て、金糸やレースによる繊細なタッチと生物のモチーフを融合させたドレスを提案。ジュートで生物を象ったシルクチュールのイヴニングが登場する一方で、ツイードやヘリンボーンで仕立てられたセットアップを提案するなど、デザインのコントラストが小気味よい。貴族的な雰囲気を漂わせるクラシカルなスタイルは今シーズンも健在。
そのほか、京都・竜安寺の石庭を漆黒のドレスで表現した「ヴィクター&ロルフ(VIKTOR & ROLF)」も要チェック!
VIKTOR & ROLF
VALENTINO HAUTE COUTURE