開放感あふれるポジティブルックが台頭
2023春夏 パリコレクションが2022年9月26日〜10月4日の9日間にわたってに開催された。参加ブランドは105を数え、コロナ禍以前の活気を取り戻している。日本からは「ANREALAGE (アンリアレイジ)」「ISSEY MIYAKE (イッセイ・ミヤケ)」「MAME KUROGOUCHI (マメ・クロゴウチ)」「RYNSHU (リンシュウ)」など、12ブランドが参加。パリでの発表を本格再開している。
前シーズンはロシアのウクライナ侵攻を受けて、身体を防護するようなプロテクティブなスタイルが目立ったが、2023春夏は自由で開放的なポジティブルックが多く提案されている。Y2Kに端を発した”肌見せ”は透け感や光沢感をともなって一層センシャルに。レースをふんだんにあしらったランジェリーディテールも豊富に登場した。スパンコールやビーズといったキラキラの装飾が日常着として提案されているのも特徴の一つ。また、肌の露出や装飾を極力抑え、ニットやジャージー、ストレッチレザーで身体のラインを強調させたミニマルドレスが多数提案されている点も押さえておきたい。
ファッションを通じて社会問題にアプローチする流れはますます顕著になっている。サスティナビリティやLGBTQといった問題は引き続き重要なテーマとなっており、新たにエネルギーや戦争、地球など、ヘビーな内容をに取り組むブランドも出てきた。例えば、Gabriela Hearst (ガブリエラ・ハースト)が手がける「CHLOÉ (クロエ)」は、エネルギー問題を解決するための選択肢として、核融合エネルギーを探求。丸みと硬さを併せ持つシルエットは、トカマクの構造からインスパイアされたデザイン。フューシャピンクのスーツは、プラズマ核融合を表現している。デニムは87%のリサイクルコットンと13%の麻で構成され、水の使用を抑えるレーザーウォッシュを採用したという。
「STELLA McCARTNEY (ステラ・マッカートニー)」はコレクションの87%をサスティナビリティ素材で製作。日本を代表する現代アーティスト奈良美智が掲げる”CHANGE THE HISTORY”からインスピレーションを得て、反抗的な表情の少女をドレスやトップスに採用した。スーツスタイルはフェミニンとマスキュリンを融合させたクリエイション。オーバーサイズのシルエットはそのままに、マニッシュなダブルブレストジャケットの下からキラキラのボディジュエリーをのぞかせて新しさを表現している。
CHLOÉ
STELLA McCARTNEY