アフターコロナの輝かしい未来に向かって
パンデミックの閉塞感から解放されつつあるパリで9月27日〜10月5日、2022春夏コレクションが開催された。開催期間中、コレクションを披露したのは98ブランド。そのうち、37ブランドが観客を入れてのランウェイショーをおこなった。ビッグメゾンはフィジカルショーをオンラインでも同時公開し、フィジカルとデジタルの両輪でブランド力をアピール。奇しくも、新型コロナウイルスは人々に脅威をもたらすとともに、ファッション界に急激なデジタル化をもたらした。
パリのデザイナーたちがこぞって提案したのは、開放的なムードを放つポジティブ・ルック。マイクロミニ丈のスカートを合わせたスーツスタイルや、おへそをのぞかせたクロップド丈のトップスにローライズパンツ、多様なパターンのストライプ、80年代を彷彿とさせるギンガムチェック、ビキニを使ったレイヤード、トレンチコートを再構築した進化系スタイルなど。どれも露出度が高く、着崩しの自由度が増しているのが特徴だ。太陽の光を感じさせるイエローやオレンジ、新緑のグリーン、海のブルーなど、自然界に端を発したカラーブロックは、アフターコロナの明るい未来を予感させる。
注目ブランドはNicolas Ghesquiere (ニコラ・ジェスキエール)が手がける「LOUIS VUITTON (ルイ・ヴィトン)」。創業者 ルイ・ヴィトンの生誕200周年を記念して、パリのルーヴル美術館で開催された。テーマは「”時”のル・グラン・バル (仮面舞踏会)」。19世紀から現代までのファッションを融合させ、新たな女性美を追求した。きらびやかな装飾をほどこしたドレスはクリノリンでウエストラインを誇張させながら、丈の短いテーラードジャケットをコーディネート。繊細なレースやビーズ刺繍をあしらったスリップドレスにはデニムパンツを合わせ、時代を超越させている。
Jonathan Anderson (ジョナサン・アンダーソン)が手掛ける「LOEWE (ロエベ)」は”maniérisme (マニエリスム)”を代表するイタリアの画家Jacopo da Pontormo (ヤコポ・ダ・ポントルモ)の世界観からインスパイアされたコレクションを展開。”マニエリスム”とは16世紀中頃から末にかけて見られたイタリア・ルネサンスの美術様式のこと。ロング&リーンのドレスにあえて歪みやねじれ、つっぱりを加え、プロポーションの新しい形を模索した。ピンヒールのサンダルに潰れた卵やキャンドル、マニキュアなどのモチーフを飾り、遊び心を加えたデザインも話題を呼んだ。
LOUIS VUITTON
LOEWE