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    2021春夏 パリコレクション
明るい未来を思い描いたポジティブスタイルが台頭
ウィズコロナ時代に突入した2020年、コレクション業界に変革の波が押し寄せている。9月28日〜10月6日に開催された2021春夏 パリコレクションでは、これまで行われていたフィジカルでのランウェイショーからデジタル配信に切り替えたブランドが多数を占めた。参加84ブランドのうち、ランウェイショーを披露したのは19、デジタル配信は45、残りの20ブランドはプレゼンテーション形式で発表。国をまたいだ往来ができない中、ファッションジャーナリストやバイヤー、メディア関係者は自宅のパソコンから最新スタイルを閲覧するかたちとなった。

そんな激動のシーズンに提案されたトレンドは、先シーズンに引き続き、身体をすっぽり覆うプロテクティブなスタイル、おうち時間を意識したゆったりシルエットのリラクシングルック。フリルやフェザーたっぷりのロマンティックスタイルは、チュールやシフォントいったシアー素材で甘くセクシーに味づけ。明るい未来を予感させるフラワーモチーフやペイズリーのプリントモチーフもたくさん見られた。また、オールピンクやオールシルバーといったワントーンコーディネート、それとは対照的に、カラフルな色と色のぶつかり合いで見せるオプティミスティックスタイルなど、カラートーンを前面に押し出したスタイルも登場している。

森永邦彦が手がける「ANREALAGE(アンリアレイジ)」は、”HOME(ホーム)”をテーマに、服を”家”ととらえたホームウェアを提案した。富士山麓の朝霧自然公園を会場に、球体から立方体、20面体までのカラフルなテントが並ぶ。これらはドローコードを引いてギャザーを寄せることで、なめらかな流線を描くシャツドレスやコートに様変わり。ヘッドピースは建築家、隈研吾氏との協業デザインで、ランプシェードにもなる。ブランドを象徴する多面体やパッチワークの技を用い、原点回帰ともいうべきコレクションを展開した。

一方、Maria Grazia Chiuri(マリア・グラツィア・キウリ)がデザインする「DIOR(ディオール)」は、観客を限定してフィジカルランウェイショーを開催、その模様をデジタル配信した。 今季はイタリア人前衛芸術家Lucia Marcucci (ルチア・マルクッチ)の作品からインスピレーションを得て、コラージュと視覚的な美しさにフォーカス。スカーフ柄やペイズリー、フラワーモチーフをパッチワークし、ドレスに落とし込んでいく。メゾンのヘリテージに敬意を表しながら、シルエットを再解釈しているのも特徴。アイコンアイテムのバー・ジャケットは夏向けの軽やかな素材でリラクシングなシルエットに生まれ変わった。

ANREALAGE

DIOR