新時代の幕開けを予感させる、アンドロジナスなスタイルが登場
メンズのシルエットを持つワードローブにウィメンズのデコラティブな装飾をほどこし、ウィメンズウェアの新たな方向性を見い出した2013-2014秋冬 パリコレクション。チェスターフィールドコートやピーコート、ボマージャケットなど、メンズ由来のアイテムは概してオーバーサイズに仕立てられており、細いベルトや大きく開いたラペルでメリハリのあるシルエットを描き出している。一方、ウィメンズウェアの要素を強く表しているのはビーズ、スパンコール、スワロフスキー、刺繍などを用いた装飾。今シーズンはモチーフを大きく色鮮やかにデザインすることでゴージャス感をアピール。メンズとウィメンズ、それぞれのスタイルの相乗効果から生まれたスタイルは、次世代にふさわしいアンドロジナスな雰囲気を漂わせている。
装飾同様、ゴージャスな装いの一端を担っているのがファー使い。毛足が長く、カラフルに染められているのが特徴で、ドロップショルダーのコートのほか、付け襟、アームウォーマーなどの部分使いにも取り入れられている。また、“目”のモチーフを中心としたシュールレアリスム(超現実主義)、1970年代パンク&ロックなど、芸術から着想を得たスタイルにも注目したい。
「ドリス・ヴァン・ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」は“チークダンス”をテーマに、男女ペアのダンサーが軽快に踊る様を一着のアイテムとして提案。ピンストライプのフランネルスーツの上からネオンカラーの刺繍をほどこし、メンズ&ウィメンズの特性を見事に融合させた。フェザーやファー、フリンジでメリハリを利かせたプロポーションは、まさに2013-2014秋冬トレンドの本流を行くスタイルだ。
エディ・スリマンがクリエイティブ・ディレクターに就任して2シーズン目となる「サンローラン(SAINT LAURENT)」は、彼が得意とするグランジへと大きく舵を切った。“カリフォルニアのグランジ・ファッション”というテーマのもと、ボーイフレンドから借りてきたようなネルシャツに、ガーリーなミニ丈のワンピースをコディネートしたスタイルは、ちょっぴり背伸びしたお嬢様風。メンズアイテムであるオーバーサイズのモヘアカーディガン、バイカーブルゾン、ダッフルコートと、対照的なラウンドカラーのリボンブラウスを組み合わせ、エディならではのミックススタイルを完成させた。
DRIES VAN NOTEN
SAINT LAURENT