世界各地で猛威をふるう新型コロナウイルスは、コレクション業界に少なからず影響を及ぼしている。中国発信のブランドが参加を取りやめたのをはじめ、中国人バイヤーやメディア関係者、モデルらが渡航を自粛したことで、ファッション業界の勢力図が変化。今後のファッションビジネスの懸念材料となっている。
今シーズンは3年半ぶりにミラノメンズでショーを開催した「GUCCI(グッチ)」をはじめ、2020春夏に上海でランウェイショーを披露した「PRADA(プラダ)」、「ピッティ・イマージネ・ウオモ」に参加していた「SALVATORE FERRAGAMO(サルヴァトーレ・フェラガモ)」「MSGM(エムエスジーエム)」が復帰するなど、ミラノメンズに大きな注目が集まった。
注目トレンドはテーラードをベースとしたフォーマルウェア。オーバーサイズのストリートスタイルに代わって、ソフトなフランネル素材で仕立てたセットアップスーツやテーラードコート、ボウタイブラウスなど、正統派のメンズアイテムが台頭した。着心地の良さを追求したシルエットは、細身ではあるが、適度なリラックス感が漂う。ピンと上を向いたピークドラペルやダブルブレストといったシャープなシルエットに、ロンググローブ、フリル、ミニバッグ、パールやゴールドのネックレスなどをプラスし、ドレスアップされているのが特徴だ。
最も注目したいのは「ANREARAGE(アンリアレイジ)」とのコラボアイテムを提案した「FENDI(フェンディ)」。”FENDI-fied classicism(フェンディ流古典主義)”と題されたコレクションでは、ブランドのアイデンティティを追求しながら、普遍的なアイテムを未来的な素材で仕立てたメンズエレガンスが披露された。テーラードジャケットをベースに構成されたスタイルは、異素材を縦横無尽に組み合わせたセットアップスーツや、ジャケットのヘムやパンツのサイドをパイピングしたトーン・オン・トーン・スーツなど、フォーマルウェアが中心。森永邦彦率いる「ANREALAGE」が2013年に発表したフォトクロミック技術を応用したアイテムはショーの後半に4体登場。太陽光で色が変わるキルティングコートが現れると、会場全体がフューチャリスティックな雰囲気に包まれた。要所に投入された“フェンディ・イエロー”がスタイルに華やかさを添えている。