パンデミックから抜け出したミラノに以前の輝きが戻ってきた。2月22日~28日の7日間にわたって開催された2022-2023秋冬 ミラノコレクションでは、57ブランドが有観客でのランウェイショーを披露。デジタルショーを選択したのは8ブランドのみ。プレゼンテーションにおいてもフィジカルが59、デジタルが10と、フィジカルが大きくリード。華やかなショーやイベントで観客を魅了した。また、「BOTTEGA VENETA (ボッテガ・ヴェネタ)」「DIESEL (ディーゼル)」「EMPORIO ARMANI (エンポリオ・アルマーニ)」「MOSCHINO (モスキーノ)」といったミラノを牽引するビッグブランドがコレクションサーキットに復帰を果たし、明るい話題を振りまいた。
最も勢いのあるトレンドは、1990年代を彷彿とさせるパワフルな女性たちのスタイル。ショルダーラインを大きく強調させ、ウエストを絞った構築的なシルエットが特徴だ。ビッグショルダーのジャケットはますます巨大化。メンズスーツの生地を用いることで、ジェンダーレスな雰囲気を演出する。数シーズン前から復活しているY2Kスタイルは、今季も存在感を発揮。クロップド丈のトップスはフリルやレースをあしらってセンシャルに、ミニスカートはローライズへとシフトしている。女性らしさを強調するコルセットはスポーティーにアレンジすることで、よりパワフルに進化した。アイテムにおいてはクラシカルで男性的なフォーマルスーツのほか、ペンシルスカート、ボディコンシャスドレス、ビスチエにガーターベルト、ニーハイブーツといった女性性を意識したものも多数提案された。
注目ブランドは新クリエイティブディレクターMatthieu Blazy (マチュー・ブレイジー)を迎えた新生「BOTTEGA VENETA (ボッテガ・ヴェネタ)」。マチューは「RAF SIMONS (ラフ・シモンズ)」や「CELINE (セリーヌ)」「CALVIN KLEIN (カルバン・クライン)」などで経験を積んだ実力派だ。ファーストルックは白いタンクトップと、デニムそっくりにプリントをしたレザーのパンツのコーディネート。イタリアの芸術家で未来派の主要メンバーだったUmberto (ウンベルト・ボッチョーニ)の彫刻「空間における連続性の唯一の形態」からインスピレーションを得て、シアーなスリップドレスとメタリックのニーハイブーツを組み合わせたり、フレアスカートの下からフリンジがのぞくレザードレスなど、ブランドのアイデンティティに敬意を示しながら、未来志向のルックを揃えた。