新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るう中、メンズ、ウィメンズの同時開催に踏み切ったミラノコレクション。先に行われたニューヨークではデジタルプレゼンテーションが大半を占めたが、参加64ブランドのうち23ブランドがフィジカルショーに挑み、強い発信力を見せつけた。フィジカルショーを開催したブランドはウイルスの感染防止に努め、マスクを配布したりソーシャルディスタンスに配慮するなど、withコロナ時代のコレクションの手本となり得る万全な体制を取った。
2021春夏ミラノドレンドは、人々の心にはびこる社会不安を振り払うように、ポジティブな雰囲気に包まれている。自然の生命力を感じさせるフラワーモチーフや、ショートパンツに代表される健康的なミニ丈のアイテム、リラックス感漂うホームドレスやパジャマ風セットアップなど、日常を楽しめるようなリラックスアイテムが多数提案された。数シーズンにわたりデザイナーたちが主張してきた”多様性”へのメッセージは刺繍やアップリケで今季も引き継がれている。環境にやさしい素材使いやアップサイクルといったサスティナビリティのアプローチは、もはや定番化したといってよいだろう。
注目ブランドはポジティブなオーラ全開のコレクションを披露した「DOLCE&GABBANA(ドルチェ&ガッバーナ)」。
"#DGSicilianPatchwork(シチリアのパッチワーク)"をテーマに、カラフルなパッチワークドレスを並べた。色鮮やかなフラワーモチーフからレオパード、ドット、ストライプまで、異なるパターンの柄を接ぎ合わせて、大きなラペルが印象的なテーラードジャケットとパンツのマスキュリンなスーツや、異国情緒漂うエキゾチックなパッチワークドレスなど、スタイルを通じてシチリアのエネルギッシュなエッセンスを振りまいた。
一方、「ATSUSHI NAKASHIMA(アツシ・ナカシマ)」(デザイナー:中島 篤 )は東京・芝の増上寺を舞台に、和と洋を融合させたアグレッシブなスタイルを提案した。テーマは”和魂洋才”。キモノの袴や帯紐、羽織のディテール、虎や竜のモチーフを採用。これらの要素をブルゾンやスウェットウェア、ロングコート、ドレスといった洋のアイテムに落とし込む。特攻服を模したきらびやかなルックには”身土不二"や”mysterious”の文字が大きく刺繍され、社会へのメッセージが盛り込まれている。