新型コロナウイルスの蔓延はコレクション業界に大きな影を落としている。折しも2020-2021秋冬 ミラノコレクションが開催された2020年2月18〜24日は、感染拡大がイタリア全土に広がり始めた時期と重なり、23日にショーを予定していた「GIORGIO ARMANI( ジョルジ
オ・アルマーニ)」は無観客に、翌24日の「ATSUSHI NAKASHIMA(アツシ・ナカシマ)」は主催側からの要請で中止に追い込まれるなど、波乱含みの開催となった。
そんな大混乱の中で提案されたトレンドは、女性の強さやフェミニティを追求したスタイル。トレンドの分散化が見られた昨今とは異なり、地に足の付いた力強いスタイルが打ち出された。注目トレンドは、女性の強さをアピールするパワーショルダーと、メリハリのあるシルエットを伝えるウェストシェイプのコンビネーション。アンコン(Unconstruction: ソフトで軽快な着心地) なシルエットから一転、厚めの肩パットを入れてショルダーラインを強調させたジャケットが多数提案された。肩幅を大きく取る一方、ウエストは細さを追求し、女性らしいシルエットを演出。共布ベルトを上から閉めて、美しいボディラインを形づくる。
これらの力強いスタイルとは対照的に、プリーツやフリル、フリンジを過度にあしらい、フェミニティーを前面に押し出したスタイルも登場している。チュールやオーガンジー、レースといった透け感のある素材を用い、ボウタイブラウスやスタンドカラーシャツ、パフスリーブドレスなどのセンシャルなアイテムが提案された。数シーズンにわたってトレンドに上がっているフリンジ使いは肩から足先まで長く垂らしたり、複数の色をミックスするなどしてさらにパワーアップ。
2020-2021秋冬スタイルを完成させる上で欠かせないディテールとなっている。
ブランド設立50周年のアニバーサリーイヤーを迎えた「SPORTMAX(スポーツマックス)」は“A brighter future”をテーマに、フェ
ミニンとフューチャリスティックの2つのムードをミックスしたフォーマルスタイルを披露した。ジャケットは肩パットでショル
ダーラインが誇張され、ウエストをシェイプすることで流れるようなS字フォルムを実現。大きなシルバーボタンを飾って近未来
的な雰囲気を演出する。ライトグレーのシルクドレスにはシルバーベルト付きのベストを重ね、スタンドカラーと繊細なフリルで
女性らさをアピールする。