明るい未来を予感させるボディーコンシャスルックに注目
70年にわたり英国君主を務めたエリザベス女王が逝去し、哀しみに暮れるロンドン。2023春夏 コレクションはそんな混乱の中で開催された。2022年9月16日〜20日のイベント期間中に女王の国葬が執り行われることが決まると、ショースケジュールを延期するブランドが相次いだ。予定通りコレクションを披露したブランドも、追悼の意を示すために黙とうを行ったり、黒のルックを発表するという配慮が見られた。
ジェンダーレスからフェミニティへ。鬱々とした雰囲気の中、デザイナーたちが着目したのは女性性を意識したボディーコンシャスルック。露出度の高いY2Kスタイルや、オーガンジー、チュール、レースを取り入れたトランスペアレントなルックも目立つ。シアー素材はブラトップやビスチェ、コルセットなどのランジェリーアイテムにも使われており、レイヤードすることでセンシャルなコーディネートを完成させる。デニムは前シーズンに引き続きトレンド素材となっており、特にバギーデニムに勢いがある。そのほか、1990年代を彷彿とさせるグランジや1980年代のディスコクイーンを思わせるキラキラのシャイニードレスなどにもこぞって提案された。ポストコロナの開放的なムードに後押しされて、全体的にポジティブにアレンジされているのが特徴だ。
注目ブランドは、ベルギー人デザイナーRaf Simons(ラフ・シモンズ)が自身の名を冠したブランド「RAF SIMONS」。パリ以外でのショー開催は初めて、そしてこのランウェイショー発表後の11月にブランド終了のニュースが舞い込み、事実上、この2023春夏が最後のシーズンとなった。舞台は以前は印刷工場だったナイトクラブ『PrintWorks』。テクノミュージックが響き渡る中、1990年代のレイブカルチャーを彷彿とさせるミニマルスタイルが登場。ネオンカラーのレギンスにドット柄のボディースーツ、フィッシュネットのタンクトップ、メンズとウィメンズともに提案されたロンパースなど、アクティブなルックが並ぶ。ベルギー人アーティストPhilippe Vanderberg(フィリップ・ヴァンデンバーグ)の手描き作品をプリントしたロンパースも登場。閉塞感漂う時代を吹き飛ばす、刺激的なショーを展開した。
RAF SIMONS
ERDEM