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    2019-2020秋冬 パリ オートクチュールコレクション
高級注文服にも”Sustainability”の波
2019-2020秋冬 パリオートクチュールコレクションが6月30日?7月4日、5日間にわたって開催された。公式の参加ブランドは34、非公式を含めると80を超え、オートクチュールへの期待感の高さをうかがわせた。とりわけハイジュエリーブランドの増加が目覚ましい。

ここ数シーズン、プレタポルテコレクションのトレンドワードとして浮上している”Sustainability(持続可能性)”や”Eco-friendly(環境にやさしい)”は、オートクチュール業界においても重要な位置を占めている。高級素材で丹念に作られたドレスの中には、環境に負荷のかからないフェルト素材を使ったものや、リアルファーの代わりにファープリントを施したものや、ヴィンテージ素材を用いてアップサイクルしたものなどが含まれる。そこにクチュリエたちによる緻密な装飾が加わることで、ゴージャスな作品へと生まれ変わる。番組では「FENDI COUTURE(フェンディ・クチュール)」「VIKTOR&ROLF(ヴィクター&ロルフ)」「YUIMA NAKAZATO(ユイマ・ナカザト)」らアップサイクルを試みたブランドを含む7ブランドを紹介する。

「FENDI COUTURE」は今年2月に逝去したKarl Lagerfeld(カール・ラガーフェルド)へのオマージュを込めたコレクションを披露。ローマ市内のパラティーノの丘で”The of Dawn Romanity(ローマの幕開け)”と題した記念イベントを開催し、カールと「FENDI」の54年間にわたるコラボレーションにちなんだ54体の作品を発表した。デザイナーのSilvia Fendi(シルヴィア・フェンディ)はカールが残したスケッチを基にエンパイアシルエットのドレスや、大理石を思わせるプリントを施したオーガンジードレス、ファーをアップサイクルしたコートなど、カールの息吹が感じられるドレスが並んだ。

一方、「DIOR(ディオール)」はパリ・アベニューモンテーニュの本社内のグランサロンでショーを開催。アーティスティックディレクターMaria Grazia Chiuri(マリア・グラツィア・キウリ)は建築家Bernard Rudofsky(バーナード・ルドフスキー)の思想からインスピレーションを得て、スタイルの中に建築的な要素を取り込んだ。提案された65作品のほどんどが黒一色。パリの建造物として知られるカリアティード(女像柱)のシルエットを軸に、古代ギリシャで女性が着用していたドレープドレス(ペプロス )や、レースやメッシュといったシアーな素材と重厚な素材を組み合わせたイヴニングドレスなど、黒の存在感に圧倒されるコレクションを展開した。そのディテールからヨーロッパ伝統のゴシックスタイルが見え隠れする。

FENDI COUTURE

DIOR